2月1日、厚生労働大臣の諮問機関、社会保障審議会の「厚生年金基金制度に関する専門委員会」というところが、昨年11月厚労省が出した試案を妥当なものとする意見書をまとめました。厚労省の試案というのは、財政難の厚生年金基金は5年で解散、さらに厚生年金基金制度そのものを10年で廃止とするものです。
厚労省は今年4月の通常国会に制度改革法案を提出する方針するようです。ちなみに一律廃止には反対の声があって、財政状況が健全な基金については存続を認める意見が意見書には併記されています。
そもそも厚生年金基金というのは企業年金制度の一つで1966年(昭和41)に始まりました。よく基礎年金が1階、厚生年金は2階、基金は3階なんて言われたりします。
国の年金である厚生年金の一部(いわゆる代行部分)と基金独自の上乗せ給付を一体で運用し給付するというのが特徴になっています。2012年3月末時点の加入者は約440万人、資産残高は約27兆円に上っています。
運用難が続いていて2011年度末時点で全厚生年金基金577のうち、ほぼ半数の287基金が、独自の上乗せどころか、国に代わって支給する厚生年金(代行部分)にさえ必要な資金が不足している状態に陥っています(いわゆる「代行割れ」2012年3月末時点で約1.1兆円)。
財政の厳しいところが多く、厚労省の試算では、2年後に代行割れに陥るリスクがないのは全577基金のうちわずか49基金しかないほどです。ほとんどの基金は解散か、他の企業年金制度への移行を迫られることになります。
しかし、基金の解散には厚生年金の代行部分の支給に必要な資金を国に返済す必要があり、多くの基金は資金不足のため返済できず、解散できないのが実情です。
解散にあたって資金不足をどうするか、厚生年金の保険料を使って穴埋めするのではと言われていますが、基金とは無縁の厚生年金の加入者につけ回しするようなものなので黙っていないでしょう。
2012年3月末の適格退職年金廃止といい、今度の基金の廃止に向けた動きといい、代表的な企業年金制度が終焉を迎えるにつれ、どの制度に移行するか、そもそも企業年金制度を維持するか決断が迫られそうです。