日本の会計基準を定める企業会計基準委員会(ASBJ)は10日、企業年金の積立て不足の全額を貸借対照表に一括計上する新会計基準の導入を決めた。連結決算の企業を対象に平成26年3月期決算から適用する。この新基準が導入されると年金の運用や給付の見直しを行う企業が増えることが予想される。
現在の基準では、積立て不足を10~15年といった複数年に分けて負債として貸借対照表に計上し、積立て不足の総額は、注記として記載するだけにとどまっている。
このため、現行では貸借対照表に負債の一部しか計上されていないことになり、いわゆる「隠れ債務」となっていたため、企業の財務の本当の姿が分からないといった指摘がなされてきた。
米国会計基準は年金の積立て不足を一括計上しており、25年1月改定予定の国際会計基準(IFRS)も一括計上に変更する。新会計基準は国際的な基準に合わせることで企業財務の透明性を高める狙いがある。
しかし、株安や低金利の影響で年金の運用環境は悪化しており、積立て不足を抱えた企業は多く、負債の一括計上で、自己資本比率が低下、財務状況が悪化する懸念を指摘する声がある。