厚生労働省は11月2日、企業年金の一種で厚生年金基金について改革原案をまとめた。
大半の基金の財政状況が悪化しているため、厚生年金保険法を改正し、施行から10年後に制度そのものを廃止する。国の代行部分が積み立て不足に陥っている、いわゆる「代行割れ」基金は原則5年以内に解散させる。
代行割れ基金が解散すると、その基金からの企業年金の支給はストップする。基金が資金不足により公的年金資金(厚生年金)から借り入れ、返済の見通しが立たない額は1兆1100億円に上るとされるが、企業側からの取り立てを強化し、不足分は公的年金資金を充てる方針。
厚労省は、年内に最終案をまとめ、来年の通常国会に関連法案の提出を目指す考え。AIJ投資顧問による年金資産消失事件を受け、10年程度で厚年基金制度を廃止する方針を決め、具体策を詰めていた。